『ベネズエラという国、政治が美しい国を潰した・・・。』

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 今回滞在したベネズエラという国では、野球もさることながら、人々の生活から色々と感じることの方が多かったような気がします。

 1970年代の頃のベネズエラは、世界一と言われる原油の埋蔵量によって多いに栄え、首都カラカスの高層ビルに高速道路、山を突き抜ける多数のトンネル(トンネルはラテンアメリカではまずお目にかかれません)、整備された地下鉄網などは目を見張るものがありました。

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 一方で貧富の差はこの頃から拡大を続け、多くの庶民の心をつかんで大統領となったのがウーゴ・チャベス氏でした。キューバにならい、様々な企業を国営化し、石油資源をもとに経済大国・アメリカにも大いに反目し、社会主義を貫いてきました。

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 しかし、そのチャベス氏が大統領任期中に若くして亡くなり、それと同時に世界の原油安がふりかかり、原油に頼り他の産業を放棄してしまっていたがために外貨獲得に苦しみ、さらにはその後の現政権の狂気とも思える政治により、国内は混乱を極めています。

 薬局に行っても石鹸がない、シャンプーがない、髭剃りがない状況で、ついには食料までもが枯渇し始めており、スーパーで卵も手に入らなくなってきていると言われています。

 政府は外貨を1ドル=6.5ボリーバルに固定し、ボリーバルから米ドルへの両替を禁止したため、外貨を求める企業や富裕層との闇両替レートは1ドル=833ボリーバル(2016年1月現在)まで上昇、実際のレートとは100倍以上の差が出ています。

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(500ドル両替してもらったらこの札束。生まれて初めて肩でお金を担ぎました・・・。)

 先の食料問題も広大な土地で作ればいいではないかと思いますが、政府が現実とはかけ離れた固定レートを採用して輸入をしているため、作ったところで飛んでもない赤字になるだけという状況。実質、国内の通貨の価値が下がれば、人件費や国内での物資調達の費用は安くなるため輸出業が盛んになるはずなのに、儲けを外貨に換金できない上に、治安の悪化で駐在員をおくことも危ぶまれ、続々と撤退。

 政府の予算も底をついているため、どんどん紙幣を印刷してインフレがおこり、実際の通過の価値もみるみる下がっていく、物価はどんどん上がるが、お給料はそこまで上がらない、時に払われない状況。貯蓄していたボリーバルは紙くず同然になるという悲惨な状況です。
 挙げ句の果てに、こんな状況で政府の関係者が不正を働いて私財を蓄えているとあってはどうしようもなく、ここ数年のインフレ率はアフリカなどの開発途上国を差し置いて、世界ワースト1位になっています。

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 治安も残念ながら世界一悪いと言われるくらいに悪化しており、昼間の一部地域を除いて徒歩での移動は不可能で、タクシー運転手も強盗に様変わりするため安全な移動手段確保も困難、警察・軍隊も既存の給料では到底生活できないために犯罪に手を染めている人もいるという状況です。(私は何事もなく無事に通過しましたが、一番の難関は入国する際の空港の警察と税関の職員だとか。)

 しかし、教育は他のラテンアメリカの国に比べても非常に高いレベルで、私が接した方々もとても思慮深く親切な方ばかりでした。政治の腐敗による国内の混乱、その中で生まれてしまう一部の犯罪者(彼らも生きるための必死の手段であるとは思いますが)のために、多くの素晴らしい人格の方々をも疑わなければならないこと、本来もっているベネズエラの美しさまでもが消されてしまうことが非常に悲しいことだと思います。

 ただ、たった1週間ですが、現地に滞在してみて、日本も他人事ではいられなくなるのではないか?とずっと頭をよぎっていました。
 形は違えど、日本も多くの問題を先送りにし、いつか我慢できなくなる日が来るのではないか、そしてその有事の時に一番大切な創造力と行動力を生み出す教育をしていないことが、何よりも大きなツケとして現れるのではないかと。

 ベネズエラが正常な状況に戻るためには、今始めたとしても5年から10年はかかるのではないかと言われています。長い年月ですが、今始めなければ、いつまでたってもその5年後・10年後はやってきません。状況は悪化を続け、正常に戻るまでの期間が長引くのみです。そして、これは日本にとっても同じこと、問題を先送りしているだけでは泥沼にハマり抜け出すまでに時間がかかるだけなんです。

 短期の旅行者としては、少々の物不足も我慢すればすみますし、嫌なら出て行けば良いだけです。本当につらいのは現地に暮らす方々だと思います。彼らが少しでも早く平穏な生活を取り戻せるように願いつつも、明日は我が身と考え将来の日本に必要なことを微力ながら実践し続けていこうと想いを新たにした滞在となりました。

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