『選手から指導者に対する本物の敬意を受け取る方法』

あきちーず 2015 指導者


 ドミニカ共和国の野球指導で感じた指導者・選手間の両方向の敬意の大切さを以前ブログに書きました(http://sakanaghana.blog.fc2.com/blog-entry-35.html)。

 実は技術指導力よりはるかに大切なのは、指導者の人間性であり、選手との信頼関係ではないかなと思っています。

 そしてキーワードになるのがやはり『敬意(リスペクト)』だと思います。
 『敬意は選手から指導者へ一方向にだけ向かうものではなく、指導者から選手に対しても向けられ、指導者と選手は対等の立場でなくてはならない。その中からお互いの真の信頼関係が生まれるのだ。』と、多くのドミニカ共和国のコーチは話します。

 では、どうやってその信頼関係を築くのか?MLB球団アカデミーのコーチや少年野球のコーチから話を聞き、実際の指導を見せていただく機会を得ました。

SD 2014 指導者1

 多くのコーチ曰く、「選手との信頼関係を築くためには、最初に指導者が選手に対して敬意を払い、それを継続していくことが必要なんだ。指導者から選手に対する敬意がないところに、選手から指導者への敬意が生まれることはない。選手から指導者への敬意が返ってこなくてもあきらめてはいけない。何年かかってでも彼らに敬意を示し続けるんだ。」と。

SD 2014 指導者2

 「忘れてはいけないことは指導者のために選手がいるのではなく、選手がいるから我々が指導者として存在できるということだよ。選手がいなければ我々も必要ない。だからまず我々が彼らに敬意を払うということは考えるまでもなく当然のことだよ。

 試合に勝つために選手を酷使するなどもってのほかだし、選手が将来的に能力を発揮するために、より良い環境を作ることが我々指導者の役割なんだ。

 選手が指導者に対して怖さを抱くようなことは決してあってはならない。『指導者に怒られたくないから・・・。』と選手が思ってプレーしたり、会話をしたりする時点で、それはもはや選手から指導者への敬意がある状態とは言えない。それはただ怖いから怒られないようにやっているだけで、彼らがやりたいプレーではないし、本当に指導者に伝えたいことでもない。そんなところにお互いの信頼関係が芽生えるはずはない。

 うまくなりたいと思っていない選手なんてこの世にいないんだ。例え、三振しても、エラーしても、打たれても、『次はうまくできる!』と軽く背中を叩くんだ。何度失敗しても、この選手はうまくなると信じ、常に前向きな言葉をかけ続けるんだ。それでもうまくいかなければ、『一緒に練習をして克服しよう!』と声をかければいい。逆に結果ではなく、彼らの良いプレーや、素晴らしいチャレンジを逃さずに褒めることも大切だよ。信頼できる指導者が見ていてくれているという安心感が彼らをまた成長させるんだ。

 三振しても、エラーしても、打たれこんでも、プレーの結果で彼らを叱る必要は一切ないよ。指導が必要なのは、人の道に反した時、誰もができることをやらなかった時、例えば打った後に走らなかった、目の前にきたボールを捕ろうとしなかった時だけだよ。それでも、2回目までは誰も見ていないところで2人きりで話すんだ。いきなり、みんなの前で叱ったりしてはいけないよ。」と、MLB球団のアカデミーのコーチも、優しい目で選手たちの成長をサポートし続けています。

帽子2つ

 人口5千人の村からメジャーリーガーを輩出しまくっているチームの監督もずっと笑顔。帽子をプレゼントしたら、その日はもともとかぶっていた帽子の上にずっと重ねたまま指導です。選手も何のリアクションもなく、普通に時間が流れていきます。

 『ここにコーチは7人いるけど、誰もマイナーですらプレーしたことがないんだ。だから技術的なことは我々もほとんど教えないよ。グラウンドに立てば、どのように打球を捕るのか、どのようにスイングするのかは本人しか決めることができない。だからプレーは彼ら自身で考えればいいんだよ。我々指導者ができることなんて限られているんだ。彼らが自分たちで考えて、どんどんチャレンジできる環境を作ること、それくらいだよ。』と。彼は帽子を2つかぶりゲラゲラ笑うだけです。

 小さい子たちを見ていてもそんなにうまいと思わない、身体能力もずば抜けているとは思わない、技術指導もほとんど行わない、でもこのようにおおらかな指導者が近くにいることで、選手たちはすくすく成長していくのかなと思います。嘘みたいな本当の話で、まるで魔法を見ているようです。

 ドミニカ共和国の野球に触れ、指導者の在り方に関しては勉強になることの連続でした。短期的結果を求めない、選手に対して敬意を払い続けることは、貧しくても、貧しくなくても、どちらでも誰でもできることですよね?我々日本人もやっていきましょう!どんな結果であろうと選手に敬意を払い続けていきましょう!

 それは会社でも、学校でも、家族でも、日本社会全体で同じことが言えるのかもしれませんね。
 

コメント

ありがとうございます。
勉強になります。
2015/ 02/ 05( 木) 11: 50: 31| URL| 長島宏二# -[ 編集 ]
 
ドミニカの選手が成長している背景がよくわかりました。
2015/ 02/ 05( 木) 21: 14: 46| URL| 小山克仁# -[ 編集 ]
 
日本では精神的要因からイップスに陥るケースが多いように思いますが、このような指導をされているドミニカではイップスになる選手はいない、または少ないのですか?
2015/ 02/ 07( 土) 16: 20: 19| URL| トスパーマン# -[ 編集 ]
 

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