
この3連休からボーイズリーグの公式戦でもある関西秋季大会阪南支部予選がスタートしています。
中学生の野球大会と言ってしまえばそれまでですが、実は日本のアマチュア野球界にとって大きな変化をもたらす可能性を秘めた大会になっています。日本では高校野球に代表されるようにトーナメント戦が主流になっていますが、この阪南支部予選は支部会の決定により今回リーグ戦で行われることになりました。
12チームを3ブロックに分けて、各ブロック4チームの総当たり、その中の各1位と2位の中で最も成績の良かったチームが次の代表決定戦に進むことができます。これまで、全て勝たなければならなかった大会が、例え1敗してもまだチャンスがある大会へと変わり、1回負ければ2度と次の試合ができなかった大会が、最低でも3試合は試合を行えることになりました。
これまでこのブログでも書いてきた通り、野球は失敗の多いスポーツであり、偶然性の高いスポーツです。特に若い世代(僕の感覚では27~28歳くらいまではまだまだ経験の少ない若い世代に含まれますが、その中でも特に中学生や高校生など)は、失敗しても、試合に負けてしまっても常に次にチャレンジできる環境を作ることが重要だと思います。そういう意味では、トーナメント戦では彼らの真の成長にはつながりにくいのではないかと感じています。実際、海外ではどの年代もリーグ戦が主流です。

私自身もこの阪南支部予選に堺ビッグボーイズのセカンドチーム(堺ビッグボーイズの選手登録に入らなかった選手たちが登録される)南花台フューチャーズの監督として参加する機会をいただいました。彼らも1回負けたら終わりのトーナメント戦ではないため、毎試合存分に野球を楽しめている様子です。

17日(土)の東住吉ボーイズさんとの対戦では、3回を終えて0対4とリードされたところから、全く下を向くことなく、フルスイングで連打を重ねて4回に一挙6点。8対4で逆転勝利し、これがビッグボーイズに選手登録されなかった選手たちにも何とか公式戦出場のチャンスを!との想いで2年前に結成された南花台フューチャーズの記念すべき公式戦初勝利となりました。
1日雨を挟んで行われた19日(月・祝)は昨年全国大会で決勝まで勝ち上がった大阪狭山ボーイズさんとの対戦。この試合でも1回に4点を取られましたが、2回に連打・連打でなんと一挙7点で逆転。結局、試合は再逆転され敗れてしまいましたが、どんな状況でも常に前を向いてプレーする子供たちにはベンチにいるこちらも終始驚かされっぱなしでした。

試合中に、ふっと頭をよぎったのが、昨年筒香選手(横浜DeNAベイスターズ)の通訳としてベンチに入らせていただいたドミニカ共和国のプロ野球(ウィンターリーグ)球団のエスコヒードのベンチです。監督やコーチは、細かい指示を出さずに『バモス!バモス!(さあ、行くぞ!!)』、『アグレシーボ!アグレシーボ!(アグレッシブに!積極的に!)』とだけ、何度も何度も選手を鼓舞していました。そして、目の前では初球や、四球が狙えそうな2ボール0ストライク、3ボール1ストライクから積極的に迷うことなくフルスイングを続けるフューチャーズの子供たち。失敗することなど考えずに、常にできると思って積極的にプレーを続けるメジャー球団のアカデミーに所属するドミニカの若い選手たちとも重なるものが多くありました。(バント処理がうまくできないこともまるで一緒です、笑)
1勝1敗となり、得失点の関係から2位になってもワイルドカードでの勝ち上がりは難しい状況になりましたが、そんなことよりもまだあと1試合できることが子供たちにも周りの大人たちにも、常に前を向く機会を与えてくれているのではないでしょうか。
こんな素晴らしい機会を用意して下った関係者の皆さん、常にチームを支えて下さる多くの方々に感謝しながら、第3戦を子供たちと共に精一杯楽しみたいと思います。
子供たちが明るく積極的にチャレンジできる日本にするために、まずは大人が変化を恐れず、
『Siempre agresivo!! シエンプレ アグレシーボ!!』
常に積極的に!!

9月第一週より、第3回フューチャーズリーグが大阪の堺市を中心に開催されています。
大阪・京都・三重・和歌山・岡山などから、中学3学年で合計20チームがエントリーし、3か月にかけてリーグ戦を戦っていきます。
メインの2年生は主催チームでもある堺ビッグボーイズ(ビッグボーイズは選手数が多いため、Astros、Braves、Cardinalsの)3チームを含め合計10チームが参加し、各チーム最低でも9試合を行うことができます。

日本では、小・中・高と各カテゴリーでトーナメント戦が基本になっていますが、実は海外ではアマチュアも全てリーグ戦が基本です。
どちらが正解というものはないのかもしれませんが、野球というスポーツの特性を考えると日本で行われているトーナメント戦ではなく、リーグ戦でも行う方が良いのではないかと思えてきます。
野球の特性①:どちらが勝つか負けるかはその日の運に左右されやすい。
→プロ野球でも143試合戦って80勝60敗ペース、つまり4勝3敗ペースで十分優勝が狙える。このようなスポーツはトーナメントには向いていない。強いチームが高い確率で勝つ競技であればトーナメントでも問題ない。
野球の特性②:失敗の多いスポーツ
→打者は10回中3回ヒットにできれば億を稼げる選手。年俸20億を超えるロビンソン・カノー選手ですら打率3割前後。10回中7回以上失敗するスポーツで、必ず勝たなければ次がないトーナメントでは本当の実力は図れない。
特に、まだまだ経験も少なく、身体も出来上がっていない若い選手たちが、トーナメントの大会に参加する弊害はとても大きいと思います。
どちらが勝つかわからない、失敗の多いスポーツにも関わらず失敗を恐れてチャレンジできなくなる。負ければ次がないため偏った選手起用になる(投手の投球過多も一緒)。
例えば、私自身が勉強をさせてもらっているドミニカ共和国ももちろんリーグ戦です。このような取り組み・環境の違いから、将来大きな舞台で活躍する選手の数が違ってきていることも事実ではないかなと思います。

私自身もこのフューチャーズリーグで、2年生の堺ビッグBravesを担当、9月3日・10日・11日の3試合にベンチで指揮をとる機会をいただきました。
ベンチ入りしている14人(プラス1名は怪我で休養中)には必ず各試合で打席と守備機会または投手としての登板機会を用意しながら采配しています。
勝ったり負けたりはありますが、次も必ず試合があるので、こちらも子供たちも思い切って試合に臨むことができています。
豪快な三振をしても下を向くことなく、打たれて失点しても次は良い投球をするぞと前を向く。この、『失敗してもまた前を向いてチャレンジを続けていく』ことこそ、野球を通じて彼らが今後の人生のために学べることではないかなとつくづく感じます。
1試合目でできていなかったことが、コーチに言われなくても自分たちで気づいてできるようになっていく、その変化・成長を我々は見守る、これを何か月も、できれば何年も継続できれば、野球選手としても一人の人間としてもきっと立派になってくれると確信しています。
我々ができることは、子供たちが最大限成長できる環境を作ること。
日本のこれまでの常識に捉われず、変化を恐れず、もちろんこれまでの良いところは大切に伸ばしつつ、子供たちと共に成長できればと思っています。
百聞は一見に如かず、機会があればフューチャーズリーグもぜひ見学にお越しください!


1か月半のドミニカ共和国・アメリカ合衆国滞在から帰国して、早くも10日が経ちました。日本での活動も再開し、さっそくご縁のある高校にてドミニカ共和国で実践されている練習メニュー紹介をする機会をいただいたり、週末は堺ビッグボーイズの子供たちと再会したりと、お陰様で充実した日々を送っています。


今回の海外滞在中にはドミニカ共和国へ5名の野球指導関係者がお越しくださいました。また、アメリカへは少年野球の選手たちも含めて25名、合計30名が未知なる世界に足を踏み入れました。

ドミニカ共和国は、この時期ドミニカン・サマー・リーグと言われるメジャーリーグ球団のアカデミー同士のリーグ戦が行われており、日本の高校生と同じ年代の16~18歳の若手選手指導現場を中心に見学や現地コーチらとの意見交換会も実施させていただきました。


アメリカでは、日本の中学生たちが同年代の大会に参加し、現地のアメリカ人やメキシコ系移民らとの試合、またマイナーリーグやメジャーリーグ観戦などを通じて様々なことをまさに体感する機会を用意できたのではないかなと思います。
現地でサポートさせていただきながら、終始みなさん良い表情をされている、そんな印象を持ちました。
決して、外国が全て良くて、日本が全てダメだと言いたいわけではありません。
日本人の良いところ、得意とするところは、これからも大切にして、最大限活かしていく必要があると思います。
そういった意味では、海外に出ること、世界に出ることで、自身の中で新たなモノサシができ、良い意味で客観的に日本の良さと改善点が見えてくるのも事実だと思います。
日本にいて、日本はこれでいいんだと変化しようとしなければ固執に繋がります。
とはいえ、海外に出て、海外のマネだけをするのも本質的な成長には繋がらないと思います。


外に出て、日本の長所・短所を客観的に見て、良い点は大切にしてさらに伸ばしていく、改善点は謙虚に変化を恐れることなく自ら変わっていく。
日本にいても、海外にいても、あくなき向上心を持って、周りの方々と共に成長していければと思います。
答えはないし、ゴールもないけど、今日も前進!バモス!!
