『アメリカと日本の高校野球、ここまで違うか・・・』

180412 2

180412 1

 ドミニカ共和国からの帰りにロサンゼルスに立ち寄り、各世代の野球を観てきました。
 まずは、一応(?)アナハイムまでドライブし、エンゼルス対アスレチックス戦を観戦。
 エンゼルスの先発ピッチャーが打ち込まれ、2回表で0-6。散々な試合を観に来てしまったなと思ったら、そこから大逆転で12対9やったかな。大谷選手の3号ホームランもお目にかかりました。シモンズはじめ、メジャーリーガーの内野手の好守には何度もうならされます。そのためにチケット代を払っていると考えてもOKです。

180412 3

 今回は春のアマチュア野球シーズン(カリフォルニアは大学・高校共に春がシーズンです)だったこともあり、初めて大学野球の観戦に。
 UCLA対スタンフォード大学の対戦。お互いにめちゃくちゃ頭の良い名門校同士の対戦です。聞けば、やはり勉強はできないけど野球はできるという選手は入学できないようで(日本でいう推薦入学はなし?)、どの選手もとっても勉強ができ、野球もそれなりの実力でスカウトもよく来て、ここからメジャー球団と契約する選手も出るとのこと。東大や京大からプロ選手が出ると、それなりに話題になりますが、こちらでは特に超有名難関大学からプロ選手が出ても普通なのかもしれません。
 もちろんレベルも相当高く(特に打者の打ち方は全然違います!)、この日は乱打戦になり長い試合となりましたが、観ていて全く飽きのこない試合でした。

180412 4

 高校生の試合は、毎年、夏に実施している堺ビッグボーイズのロサンゼルス遠征で親善試合をして下さるレドンドユニオン高校対サウストーランス高校の試合を観に行きました。
 どう表現したらいいのか、わからないのですが、とにかく両チーム、常にアグレッシブです。投手はどんどんストライクゾーンに投げ込み、打者もどんどん振っていきます。このアグレッシブさは、観に来ていただくのが一番伝わるのではと思うのですが・・・。
 バットは大学も高校も金属バットですが、日本のものとは違い、反発係数が木製バット並みに抑えられているため、なかなか飛んでいきません。日本のように前で(投手寄りで)打つのではなく、体の中にボールを引き付けてキャッチャー寄りで打たなければボールに力が伝わりません。これは、将来木製バットを持った時にも弊害が極力少ない金属バットではないかと思います。日本でもいち早く導入すべきだと思います。甲子園のホームランは半減どころか、ひと夏で10本も出ないかもしれませんが、将来メジャーで活躍する打者は増えるかもしれません。

 指導者も選手も、勝利を目指してもちろん一生懸命ですが、球数もリーグで決められており、投手も何度か交代していきます。

 驚くべきは、高校生の公式戦であるにもかかわらず、日本の甲子園大会のような大会形式と全く異なることです。

 この地域ではビーチリーグと言われるリーグで、3月から5月くらいにかけてリーグ戦を行い(基本的にホーム&アウェイ)、各チーム合計30試合ほど。成績の良かった何チームかはカリフォルニア州のおそらくロサンゼルス近郊の勝率が良かったもの同士のトーナメントを戦います。そして、高校の年代はそこで終わり。アメリカの高校野球にその先はありません。

180412 5

 日本でいうと、各都道府県内の近い高校同士(例えば堺市内のみの高校同士)で何か月かリーグ戦を行い、優秀だったチームは各都道府県の中で(例えば大阪府下で)トーナメントをして、終わり。近畿大会、関東大会もなければ、もちろん甲子園大会のような全米ナンバー1を決める高校生の全国大会はありません。

 それくらい、まだまだ高校生のように技術も精神も未熟な若いうちに、ナンバー1を決めることの意義を見出していないのだと思います。逆に高校ナンバー1を決めることに重きを置いて早熟させたり、無理させたり(怪我をさせたり、燃え尽きさせたり)しているのではないかということに我々は改めて気づかされます。

 全国大会がないからお遊びなのかと言えば、もちろんそのようなことはなく、指導者も選手も超アグレッシブです。アメリカは高校以外のクラブチームの存在もありますが、このような高校野球のシステムでも、日本人がなかなか入り込めないメジャーリーグで活躍する選手を多数輩出していることを考えると、高校野球のシステムもこちらの方が理にかなっているのかなとも思います。
 
 ちなみに、こちらでは高校・大学においてはとにかく勉強が優先とのこと。成績が足りなければ問答無用で、出場停止、野球部から除名、それどころか大学では成績に改善がみられなかったら途中で退学させられてしまうと。そもそも高校で輝かしい全国大会の舞台などもないので、みなが個々に大学に入学し、野球を続けられるように、勉学を第一に励む。そのため、練習時間も普段から2時間、長くて3時間ほど(おまけに春休みや夏休みのような長期休暇中は学校も部活も全く無しとのこと)。

 日本では、うちは文武両道だと言っている高校もありますが、それは当たり前のことであって特に褒められたことではないのかもしれません。ましてや、彼は野球があるから勉強はほどほどで良い、僕は野球しているから勉強ができなくて良いなんてことは、そもそもあり得ないことなのだと思います。

 海外で野球をみて、改めて感じること、もちろん日本の良いところもたくさんありますが、とにかく海外のいいところからも謙虚に学び、変化を恐れず全体のシステムや、野球部のあり方、指導のあり方を変えていくことだと思います。

 今の日本のやり方が子供たちにとって本当にベストか?と考えれば、変化することに何も恐れはないでしょう?力を合わせて、変えていきましょう、日本野球を!今日から日本での活動再開です!
 

『この国の野球を知って、何をしたかったのか!?』

180416 normal

 みなさん、こんにちは!
 3月末から、1週間だけですがドミニカ共和国に滞在する機会がありました。
 ドミニカ共和国を離れたのはたった2か月半ほどですが、ものすごく久しぶりに来たような気がします。

 今回は短い滞在でしたので、再会できた方もいれば、残念ながら会えなかった方もいらっしゃいます。

180416 bautista

 メジャー球団のアカデミーの指導者の方々、アカデミーのトライアウトに合格するために練習に励むプログラムの選手や指導者の方々に接し、リーガ(小学生のリーグ)は今回見られませんでしたが、道端でビティージャ(ジュースのキャップを細い棒で打つ遊び)をする子供たちをみていると、日本の野球が忘れている、気づいていない何かを、改めて感じさせられます。

180416 bitilla

 くしくも日本は春の高校野球の最中でしたが、日本のように18歳をピークに持っていくシステムでは、子供たちの本当の能力は最大限出し切れない、むしろ最大限出すことを阻害してしまうケースも多々あります。投手の投球数、登板間隔、変化球はもちろんですが、金属バットでしか打てない打撃フォームはボールを打つポイントもドミニカ共和国と全然違います。少なく見積もって50センチ、下手したら1メートルも日本の選手の方が打つポイントが投手より、ドミニカ共和国の方がキャッチャーよりです。もちろん、18歳をピークとしない、その先も考えるならば間違いなく後者で打つべきでしょう。指導者はそういった指導ができなくてはなりません。

180416 JB
 
 悪く言いたいわけではありませんが、ドミニカ共和国の指導者は日本の野手の堅実な守備をみてどういった感想を抱くかと言うと、まるでロボット、ロボコップに華麗な守備はできないと、正直な感想を言ってくれる指導者の方は教えてくれます。エラーしてはいけないと堅くなるのではなく、基本は大切に、でも自身の思うように、『自分に光を与えて自由にプレーすれば良い』と教えてくれます。これも、メジャーで多数の二遊間を輩出している(日本は現在1人もいない)この国から学ぶべきところが多いのではないかと思います。

 この国の野球を初めてみた時の『日本の子供たちにも、ドミニカ共和国のように長い目で見て、最大限の力を発揮できる指導・環境を用意したい。』という想いを来るたびに思い出させてくれます。

180416 elpidio

 今の活動を初めて3年半が過ぎました。まだまだ1歩も踏み出せていないかもしれませんが、みなさんの力をお借りして日本の野球をより良い環境にできればと思います。

 しばし、ロサンゼルスに寄ってから帰国します。また、日本でもみなさんにお会いできる日を楽しみにしています!

180416 SD
 

【養殖の魚の育て方はドミニカ共和国にはありません!】

 ドミニカ共和国の野球指導の考え方を日本の方々にも伝えたい!と思い活動を開始し4年目を迎えています。お陰様で多くの方々に興味を持っていただき、これまでに数え切れないほどたくさんの方々に全国各地で開催するセミナーにお越しいただき、中には実際にドミニカ共和国までお越しくださる方も延べ50名を数えるようになりました。

0804 elpdio2

0804 bau

 ドミニカ共和国の野球、WBCでも優勝!メジャーリーガーもたくさん輩出している!きっと自分たちの指導にも役立つ練習方法があるはずだ!と興味を持って下さる指導者の方もたくさんいらっしゃいますが、その前に野球指導ということにおいて育成の考え方、指導の目指すところが全く異なります。

 日本では、すぐに結果を出せる指導者が素晴らしいとされます。小学生も、中学生も、高校生も、大学でも、プロでも、今この目の前で勝っている指導者が優秀とされるため、すぐにうまくなる練習方法はないかと考えます。でも、実はドミニカ共和国にこのような練習方法は存在しません。なぜなら、彼らは目の前の結果には全くと言っていいほど重きを置いておらず、25歳以上からあのメジャーリーグという大舞台で活躍できるように育成をしているからです。

0805 BJ

 言い換えれば、表現はよくないかもしれませんが、日本では養殖の魚をうまく育てられる人(指導者)が評価され、15歳や18歳(場合によっては12歳)までに早く大きく育てられたかが評価の対象となります。その後、その選手らが大海原でどうなったかは評価の対象にはあまりなりません(メジャーリーガーを育てるより、甲子園で勝つ指導者の方が全国的にも有名になってしまいます)。

 一方で、ドミニカ共和国の指導者の評価は、その選手が25歳以上になり大海原(マイナーリーグからメジャーリーグにかけて)でどう活躍したかです。残念ながら枠にはめられ、指示をたくさんうけ、餌を与えられ続けた養殖の魚ではこのメジャーリーグという厳しい大海原で生きていき続けることは容易ではありません。彼らがその生き抜く方法を学び、自らの力で進んで行けるよう、指導者は日々観察力を研ぎ澄ませ、忍耐力を失わずに、彼らを導いていきます。

 では、どうやったら、天然の魚を育てられるのか?と考えてしまいますが、実はその方法はこの世にありません。天然の魚は天然であり、もしあなたがその天然の魚をより良い方向に導きたいのであれば、養殖業者ではなく、あなたも天然の魚となり、後輩の天然魚をより良い方向に導いていくしか方法はないのだと思います。そのためには、先輩天然魚である自分自身がチャレンジを続けて、その姿を見せていくしか方法はないのかもしれません。

0804 PR2

 先生と呼ばれる職業はいくつかありますが、これは日本の中では高貴な職業だと思います。字の通り、先に生きて、彼らに示して導く、そして見守る。高貴な職業だからこそ、絶対に養殖をしてはいけません、ましてや目の前にいるのは生身の人間ですので!!そういった意味では、自身はまだまだ先生と呼ばれる職業には近づけないなと、大いに反省しつつですが・・・。

 決して、養殖業者の方を否定したいわけではなく、スポーツにおける育成・教育の考え方を伝える表現として使用している旨、ご理解いただけましたら幸いです。

 勝つための練習、すぐに結果を出すための練習、ではなく、根本的な野球指導のあり方、教育のあり方を、日本の皆様とも引き続き考えていくことができればと願っています。ドミニカ共和国の野球指導法や堺ビッグボーイズの取り組みが、その一助になれば幸いです。
 

『全体の変化の予兆』

 1月13日に帰国し、もうすぐ2か月。
 お陰様でまだ1か月半しかたっていない??というほど、毎日様々な場所で、様々な方にお会いして活動をすることができています。

 この1か月半の間に福井、長岡、新潟、大阪、神奈川、千葉、宮崎、沖縄、堺、群馬、村上、旭川、小田原、上越、新潟でセミナー開催。今後、3月末までに福岡、沖縄、石垣、大阪、群馬でも予定しています。

180306 joetsu up

180306 joetsu

 昨年に続いて開催した、プロスペクト・ベースボールミーティング2018には、堺ビッグボーイズの指導見学と宿泊込みの指導研修会に全国(北海道から岡山まで)から約20名の方にお越しいただきました。

180306bbm minna

180306 bbm w

 今年に入って感じること、それは『変化』の予兆。セミナーのなかでの空気。以前は、そうはいっても、ここは日本だから・・・、と実際に変化を求めている方は少数だったように感じますが、今では、変わっていくことは当然、その中でどう変われば良いのか、という空気が多くを占め始めている気がします。
 
 1月14日に実施したアグレシーボ体験会(筒香選手がスーパーバイザーを務める堺ビッグボーイズ・小学部、チーム・アグレシーボの野球未経験の子供たちを対象とした体験会です)の中での筒香選手の発信も、大きな反響があったと聞いています。

1801187

 高校生の投球数に対して、ダルビッシュ投手の想いも掲載されました。

 部活動に対する政府の新たな方針もちらほらと見聞きするようになっています。

 ある意味、いずれこうなるのでは?と思っていたことが、現実に迫ってきているような、そんな気もしますが、そうなりつつある今だからこそ、先を見据えた活動を行う必要性を一層感じています。
 セミナーなどにお越しいただいている方が時代の変化よりも先に変化でき、どんな状況になっても思い切って良い指導ができるように、共に現状に満足せず、変化を恐れず活動できればと思っています。

180306 niigata

 まだまだ寒い日もありますが、春の新しい息吹が聞こえてくるような。もちろん、これからもそんなに簡単にものごとが運ぶとは思いませんが、強く前進できればと思います。
 引き続き、様々な場所で多くの方と思いを共有できること楽しみにしています!!

180306 Fuji
 

【ドミニカ共和国を訪れる日本の方々に現地の方々も最大限のリスペクト】

1801224

 前々回のブログでもご紹介した通り、この1月には日本の医療関係者もドミニカ共和国へお越しくださいました。ドミニカ共和国でも肘の検診を何日もかけて炎天下の中で行い、中には牛と共に崖を下って、川を渡って、現場まで向かったケースもありました。そんな方々に現地の方々も最大限の敬意を示してくださります。

1801223

 どこへ行っても、『ドミニカ共和国まで来てくださって、我々のところを選んで下さってありがとう!我々は家族として皆さんを迎えたいと思います。』と言葉をかけられ、ドミニカ共和国のプロリーグ(ウィンターリーグ)で連敗中であったエスコヒード球団(筒香選手が2年前にプレーした球団です)では、チーム状況が悪いにもかかわらず、試合前に監督自ら挨拶に来てくれて、『ようこそお越しくださいました。ここを皆さんの家だと思って過ごしてほしい。』と最大限の敬意を示してくださりました。

1801225

 特に、最終日に面会していただいたLAドジャース・アカデミーで25年以上コーチを務めるアントニオ・バウティスタ氏からの先生方に対する言葉が印象に残りました。今回の視察の目的、日本での活動を伝えると、アントニオが話し始めます。
「まず、日本という国からドミニカ共和国という遠いところまでわざわざお越しいただいたことに何より感謝します。私は指導者という立場では25年以上も務めているため(ご自身では話されませんが、これまでに数え切れないほどのメジャーリーガーを輩出されています)何かお伝えできることは少しあるかもしれません。でも、皆さんはすでに『人としての素晴らしい心』をお持ちですので、皆さんから私が学ぶべきなのだと思います。なぜ、そのような心をお持ちだと思うか、それは皆さんが自身の仕事と真逆のことをされているからです。皆さんは医師ですので、いくら子供たちが投げすぎて肘を痛めて診てほしい、手術をしてほしいと言われても、何の問題もないばかりではなく、医師としてはそちらの方がお金儲けにもなるわけです。たくさん投げさせる指導者、そのようになってしまう大会システムで開催する主催者にどんどんやらせておけばいいのです。でも、皆さんはそうではない、肘を痛めて辛い思いをする子供たちを診て、やむなく手術をしなくてはならない選手たちを診て、自身のお金儲けや名誉のためではなく、子供たちや選手たちのことを思って、自身の仕事が減る方向に向かって活動されている。そしてさらにはこのような遠いドミニカ共和国まで来て、さらに学ぼうとされている。そのような方々はみなさん素晴らしい心を持っておられる、それは私のこれまでの経験からもわかります。今回のみなさんの滞在が、日本の野球発展に寄与することを私も願っています。」と。

180122 1

 その時、いつもお世話になっている先生(視覚情報センターの田村先生です!)から、ある言葉を聞いたことを思い出しました。自身の行っている仕事がなくなる方向に向かって仕事をする時、それは『真実』に近づくのだと。

 医師であるにも関わらず、患者が減り、医師が必要ではなくなる方向に活動する、一瞬矛盾しているようで、これが真実に近づくのだと思います。では、指導者は?指導しなくても子供たちが自身で考える能力を身につけ、いずれ指導者が必要でなくなる方向に指導する。教師は?親は?先輩は?マスコミ関係者は?旅行会社は?公務員は?総理大臣は?道理は全て一緒なのかもしれません。ああしろ、こうしろ、と指示している間はいつまでたっても、自身で考えて自立していく力は身につかず、いつまでもその職業は存在し続けるのかもしれません。そしてそれは真実には近づかないのかも。

1801222

 自身の立場、名誉と真逆に向かって活動される医師の方々、その方々に最大限の敬意を示すドミニカ共和国の方々から、自分自身もまた新たな学びを得ることができたような気がします。日本に戻ってもこのような想いを持ち続けて活動です。

 【ドミニカ共和国での学び2018、最終編に続きます】