『前向き!ポジティブ!ってどういうこと?』

置きティ 森岡 20154

 先日、中学1年生の試合形式の練習中のできごと。
 (試合形式とは言え、自分でノックを打って走るノックゲーム)
 ショートの選手が豪快なエラー。
 小学校の時にエラーしてよく怒られていた(?)選手は一瞬指導者の顔色を伺います。
 もちろん?プレーの結果に対して何も言わない指導者たち。
 一瞬の沈黙を打ち破ったのは、『ドンマイ・ドンマイ、気にしなくていいよ!切りかえて行こうぜ!』というエラーした本人の明るい声でした。
 もちろん、その後グラウンド中が爆笑と和やかな空気に包まれたのは言うまでもありません。

 そして今日も同様の練習中、サードの横あたりで様子を見ていると、次々に子供たちが近寄ってきて、
 『おれ、エラーする気がせえへんねん!』
 『全部アウトにできるとしか思われへん!』
 『全部おれのところに打ってきてほしい!』
 と、口々に話しだします。

 もちろん、まだまだエラーもするし、アッと驚くファインプレーもする、みんな失敗と成功の繰り返しです。
 でも、エラーしても、良いプレーをしても、次も(次こそは)うまくやってやろうと、笑顔で楽しんでいます。

 『前向きにやれ!積極的に行け!』と選手に言うことが指導者の役割ではなく、前向きに積極的に子供たちが野球をできる環境をつくることが指導者の役割だと改めて思わされました。

 結果がどうであれ、『できる!』と思ってやってみる。
 12歳の子供たちの姿勢から学ぶべきこと非常に多しです。
 

『日本の常識は世界の??』

マイナー トレントン 2014

新潟→東京6日間、珍しく(?)たくさん野球みました。

すっかり身も心も外国人になったらしく、日本の野球もヤケに客観的に見えてしまうのかもしれません。

今回はプロ野球のとある2軍戦を観戦。
まだまだ若いこれからの投手たちが変化球多投でかわし、打者はランナーが出ればすぐバントのサインを出される。

25歳くらいの選手たちがどんどん直球勝負で、打者も初球から強振し、指導者も結果はまだまだ先で良いと考えているアメリカのマイナーリーグとはえらい違いやなと。

そんな中で積極的にバットを振り続ける選手が一人。たとえ誰に何と言われようが、しばらく結果がついてこなかったとしても、その姿勢を貫いて欲しいなと思いました。

とある大学のリーグでは、近年下級生から登板し、上級生になった時に調子が上がらず、なんとかプロに入っても活躍できないケースが後をたたないにもかかわらず、春から1年生が初戦のバッテリーの大学もあれば、現に2年生までに投げ過ぎて調子の上がらない3年生が大量得点差にもかかわらず130球超の完投。

そんな若き未来ある彼らの将来を擦り減らしてまで優勝しなくてはならない理由がどこにあるのか?教育機関である大学が、学生の未来の可能性を狭めてまで優勝を目指すというのは本末転倒なんじゃないのか?と率直に思ってしまいます。

上記の現状をドミニカやアメリカの指導者が見たら、何をやっているんだ!そんなことをしていたら選手が育たないし潰れてしまうじゃないか!と間違いなく言うでしょう。現につぶれているので反論のしようがありません。

Dバックス 2012

これまた、投手はたとえ打たれても、どんどんストレートをストライクゾーンに投げ込み、60球で中5日のローテーション、打者はバントのそぶりも見せず初球からフルスイング、今の結果を気にせず将来の活躍のために身体は無理せず、たくさんの経験(失敗・成功)を繰り返しているドミニカのアカデミーとはえらい違いやなと。

そのリーグの2人の有望な若手左投手には、もちろんリーグ戦をないがしろにしろということではないものの、自身の将来につなげる期間にしてほしいなと思います。100球を超える投球過多や中4日未満の登板はもってのほか、負担のかかる変化球(特にスライダー)は投げず、どんどんストレートをストライクゾーンに。たとえ打たれたとしても、それで良いんだと言ってくれる指導者や先輩が近くにいることを切に願っています。

日本の野球を否定したいわけではなく、10代や20代の若者たちの将来にとって今は何を大切すべきなのか?そこにかかわる大人(我々)が、日本で常識と言われているものを疑ってかかる必要があると思います。

何よりも大切なのは、今日の勝利ではなく、子供たち・若者たちの未来ですよ!その基本を大事にしていきましょう! 

さらに強く、速く

2014 夕日

 みなさん、2014年も大変お世話になりました。
 日本が元旦の朝日を眺めている頃、ドミニカ共和国では2014年最終日の夕陽を眺めていました。

 ものすごい数のメジャーリーガーを出しているこの国で、野球指導方法の勉強がしたいと渡航して早くも1か月、いやいや予想以上に充実した日々でまだ1か月?なのかもしれません。

 野球のことはもちろんですが、それ以上に人として学ぶべきことがそこらじゅうに転がっている気がします。

 ここにいると『寂しい』という感情は一切わいてきません。道に出れば誰かが話しかけてきて、バスに乗れば知らない人同士がおしゃべりしていて、みんながみんなでハッピーな時間をすごしたいと思っています。

 お金はあんまりないけど時間はふんだんにある。ゆっくり流れる時間の中で、持っている時間は人のためにもふんだんに使う。もはやそれが当然で、誰もそのことを特別だと思っていないし、意識もしていない。この1か月、忙しいという言葉を誰からも1回も聞いていないということは、忙しい(心を亡くした)人はこの国にほとんどいないということでしょう。

strop 2014

 先日、日本から来られた方々を、メジャーリーガーがたくさん輩出されているフアン・バロン村に連れて行った際に、村の人々は3回目に会う僕をまるで昔からの住人のように迎えてくれました。ちょうどクリスマスのソフトボール大会が開催されていて、グラウンドに入っていくとみんなが『フェリス・ナビダ!!(メリー・クリスマス)』と言って僕を抱きしめてくれました。現役バリバリのメジャーリーガーも『トモー!!来てくれたのか、すごくうれしいよ!!』と僕を呼び止め、抱きしめてくれます。その光景を目の当たりにして、日本のみなさんは『この手厚い歓迎は一体なんなんだ?こいつは村に対してどんなすごい功績を残したんだ?』と思ったそうです。なんてことはなく、ただ5日ほど前に知り合っただけやのに・・・。

 『みんな、あまりにも親切にしてくれるから、僕がこの村に何か大きな功績を残したのだと思ったらしいよ。1週間前に知り合ったばっかりやのにね。なんで、こんなに親切にしてくれるんだって聞いてるよ。』
と、彼らに伝えたら、まるで質問の意味を理解できずにキョトンとした顔で、
 『何言ってんだ?おれたちはアミーゴだろ?アミーゴに対してできることは何でもする。それが何か特別なことなのか?』と、逆に聞き返されました。
 あまりにも彼らにとっては当たり前すぎて、なんでそんな質問わざわざするの?という顔をしていました。

 ドミニカの人々はすぐに人の心に入り込んできます。逆にいつも自分の心も開いてくれているので、心の中に入り込ませてくれます。
 『いつもチーノ(中国人)って呼んじゃうけど、気にしないでね。私たちにとってはアジアの人はみんな一緒に見えるの。中国人か日本人か韓国人かどこだかわからないけど、とにかくここに座りなさい!おしゃべりしよう!なんならビールでも飲もう!?あんたのことは良く知らないけど、別にそれでも良い。とにかく一緒に楽しく過ごせればそれで良い!』
 こんな人々と一緒にいて、どうやったら寂しくなれるやろう・・・(笑)。

 2014年、最後の夕陽を眺めに海岸沿いへ。
 子どもたち5人が大きな波にダイビングして遊んでいる。
 もちろん柵も何もなく、彼らを監視している大人もいない。

2014 子ども

 『チーノ!写真撮れよ!』
 『チーノ!おれ、お腹空いてんだ、お金くれ!』

 ああ、彼らは迷いなく自分たちで生きようとしている。
 これが彼らの強さであり、速さなのかもしれない。

 ドミニカの人々のように強くそして速く!
 2015年のテーマはこれやなと夕陽を眺めながら、心にすーっと入り込んできました。

 2015年もどうぞよろしくお願いします。

 

世界に挑戦するチーム

big 2014 11 03

 毎週末、大阪にいる場合は中学生の野球クラブチームである堺ビッグボーイズの練習に携わっています。

 このチーム、日本のどのチームとも全く違った取り組みを行っています。
 
 いわゆる、『育成重視』の指導と呼ばれるものです。
 
 どこのチームも『青少年の健全な育成のために』と言っています。では、具体的に何をやっていますか?となると、『うっ』とつまってしまいます。

 堺ビッグボーイズの1つの大きな特徴は、『つぶさない!!』ということがあげられると思います。

 一番わかりやすい例は投手の投球数制限でしょう。公式戦でもチーム独自の投球数制限・変化球制限があります。
 1年生は1試合30球までストレートのみ、3年生は70球まで変化球は1割未満、スライダーは全学年禁止といった感じです。

 もちろん、相手にもよまれます。『おい、ストレートしかないぞ!』と言われても、『はい、ストレートしかありません!』と投げます。球数まで来たら、どんな大事な大会の、どんな大事な場面でも、エースでも交代です。

 え、そんなことしてたら勝てないじゃないですか?
 『はい。昔は全国制覇もしたチームでしたが、現在は昔より勝利数が減っています。』
 (それでも何年かに一度は予選を勝ち抜いて全国大会に出場します。)

 守備も同じです。グラブトス、ノールックスロー、ジャンピングスローなんでもやります。
 練習だけでなく試合でもです。
 もちろんミスもいっぱい出ます。
 でも、たとえエラーをしても指導者が怒ることはありません。『もっと確実に行け!』と指示することもありません。
 なぜなら、子供たちがメジャーリーグのスーパープレーを見て、おれもこんなプレーをしてみたい!!という思いを『つぶさない』ためです。

 練習時間も全体練習は基本的に午前中のみです。
 なぜなら、やらされる練習をたくさんやって野球が好きだという思いを『つぶさない』ためです。
 スポーツをやった人ならだれもが経験があるんじゃないでしょうか?
 今日の練習しんどいな、雨降ってくれないかな・・・。
 私もそうです、大学時代はトンボを高く振り上げて雨乞いをしていました(笑)。
 でも、ここの選手たちは野球がしたい!雨なんか降らないでくれ!と真剣に願っています。

 おいおい、変わったチームだなと思われるかもしれません。でもこれ、海外ならみんな当たり前です。
 日本では変わっているかもしれないけど、世界的には常識中の常識です。
 このチームは 『世界の常識』 と 『日本の非常識』 に挑戦するチームと言っても過言ではないでしょう。

 なぜこのような取り組み方ができるのか。
 それは中学生時代の勝利を最大目標とするのではなく、将来大人になった時に活躍するために中学時代に何をすべきかと言うことを、徹底的に追及しているからだと思います。

 人間誰だって負けたら悔しい。目の前の試合も勝ちたい。無理をすれば勝たせることもできる。でも、子供たちの未来をつぶしてまで勝ちに行くという選択肢はそもそもありません。

 日本の野球が一刻も早く世界の常識に追いつく日が来ることを願って、今日も行動と発信です。
 

どこが勝つかわからない。だからおもしろい!

 AT&T 2013

 海の向こう、メジャーリーグではプレーオフが始まっていますね。

 そして、今回アメリカンリーグのリーグ優勝シリーズに残った2チームにビックリ!

 ヤンキースやレッドソックスと同地区でいつも下位に甘んじてきたオリオールズが31年ぶりのリーグ優勝を目指して、一方のロイヤルズは29年前のワールドチャンピオン以来一度もプレーオフにすら出場できていなかった暗黒時代を乗り越えてのチャレンジです。

 そして昨年の覇者レッドソックスや数年前までコンスタントに地区優勝していたレンジャーズが断トツの最下位に終わっているのも驚きです。資金力豊富なヤンキースも2年連続でプレーオフ出場を逃しています。

 でも、どこが勝つかわからない、これこそが見ているファンを最もワクワクさせることができるのではないでしょうか。

 そのために、mlbでは様々な取り組みをしていますが、その一つにドラフトの完全ウェーバー制があげられると思います。要はシーズンで下位だった球団から順番に優秀な新人を獲得できるということです。放映権料の均等配分もそうでしょう。

 自分たちだけ良ければ良いという考えはリーグ全体を衰退させ、逆にリーグ全体の活性化が各チームの繁栄につながるのではないかと思います。そういった面では、日本の野球界(特にセリーグや高校野球)も見習うべきことが多いかもしれませんね。

 アメリカの野球ファンはお気に入りのチームがボロ勝ちするのではなく、例え結果的に負けてしまったとしても緊迫した接戦を見に来ているような気がします。

 来年は22年ぶりにブルージェイズあたりが来るのではないか?まだまだ今年のプレーオフは始まったばかりなのに、もう来年のシーズンが楽しみなのは僕だけでしょうか?